サラリーマンの歌②

植木等さんをはじめとする昭和の「サラリーマン・ソング」は、現代の私たちが聴いてもハッとするような、鋭い社会風刺と強烈なエネルギーに満ちています。


1. スーダラ節(植木等 / ハナ肇とクレイジーキャッツ)

1961年(昭和36年)に発表された、昭和サラリーマン・ソングの金字塔です。

  • フレーズ: 「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」「分かっちゃいるけどやめられない」
  • 概要: 戦後の復興を終え、高度経済成長に突入する直前の日本に「そんなに肩肘張らなくてもいいじゃないか」という解放感をもたらしました。作詞の青島幸雄は、真面目に働くことへの皮肉と、それでも人間らしく生きてしまう悲哀をこの一曲に込めました。

2. 無責任一代男(植木等 / ハナ肇とクレイジーキャッツ)

1962年(昭和37年)の映画『ニッポン無責任時代』の主題歌です。

  • フレーズ: 「コツコツやる奴はご苦労さん」「俺はこの世で一番 無責任と言われた男」
  • 概要: 組織の中で「出世」や「責任」に縛られることを笑い飛ばし、要領よく世渡りする男を描いています。当時の「モーレツ社員」たちにとって、この曲は最高のストレス解消であり、ある種のファンタジーでもありました。

3. だまって俺についてこい(植木等 / ハナ肇とクレイジーキャッツ)

1964年(昭和39年)、東京オリンピックの年の曲です。

  • フレーズ: 「銭のないやつぁ俺んとこへこい」「そのうちなんとかなるだろう」
  • 概要: 根拠のない自信と圧倒的な明るさ。サラリーマンが抱える金、女、仕事の悩みをすべて「なんとかなる」の一言で吹き飛ばします。この「なんとかなる」という言葉は、戦後日本を支えた魔法の合言葉のようでもありました。

4. 旅人よ(加山雄三)

1966年(昭和41年)の曲。サラリーマンを直接歌ったわけではありませんが、当時の多くのサラリーマンが自らを投影しました。

  • 概要: 終わりのない「日常」という旅を続ける男たちの哀愁を、爽やかなメロディに乗せて歌っています。スーツにネクタイ姿で、心のどこかで自由を夢見る当時の若手社員たちに熱狂的に支持されました。

5. 黒の舟唄(野坂昭如)

1971年(昭和46年)の曲。植木等さんの「陽」とは対極にある、サラリーマンの「陰」の代表格です。

  • フレーズ: 「男は誰もが 淋しいみなしごさ」
  • 概要: 組織の歯車として、あるいは一人の男として、逃れられない孤独や虚しさを歌っています。酒場でクダを巻くサラリーマンの横顔が目に浮かぶような、深みのある一曲です。

昭和の歌が教えてくれること

植木等さんの歌は一見「不真面目」に見えますが、その裏には**「組織に魂を売りすぎるな」「個人の心まで会社に預けるな」**という、個人と社会(会社)の距離感を保つための知恵が詰まっています。

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