所得税は、個人が自分の意思で最もコントロールしやすい(=プランニングの余地がある)という意味で、タックスプランニングの主役です。
所得税の計算は、**「6つのステップ」**を順番に登っていくイメージで理解するのがコツです。
ステップ1:所得を10種類に分ける
ステップ2:損益通算(赤字の相殺)
ステップ3:所得控除(15種類)
ステップ4:課税標準の計算(総合課税か分離課税か)
ステップ5:税率を掛けて税額を出す
ステップ6:税額控除(最後のご褒美)
ステップ1:所得を10種類に分ける
所得税は、お金の稼ぎ方によって計算ルールが異なります。まずは以下の10種に分類します。
| 所得の種類 | 内容 | 覚え方・ポイント |
| 利子所得 | 預貯金の利子など | 原則として20.315%の源泉分離課税(申告不要)。 |
| 配当所得 | 株の配当金など | 原則として総合課税だが、分離課税も選べる。 |
| 不動産所得 | 家賃収入など | 事業規模に関わらず「不動産所得」。 |
| 事業所得 | 農業、商工業など | 営業利益。青色申告の特典が受けられる。 |
| 給与所得 | サラリーマンの給料 | 年収 - 給与所得控除 で計算。 |
| 退職所得 | 退職金 | (収入-退職所得控除)× 1/2。税金が非常に安い。 |
| 山林所得 | 山林の伐採・譲渡 | 5年超所有の山林。 |
| 譲渡所得 | 資産の売却益 | 土地・建物か、それ以外(ゴルフ会員権等)かで計算が別。 |
| 一時所得 | 懸賞、保険の満期金 | 労務の対価ではないもの。50万円の特別控除あり。 |
| 雑所得 | 公的年金、副業など | 他の9種に当たらないものすべて。 |
ステップ2:損益通算(赤字の相殺)
ある所得で赤字が出た場合、他の黒字の所得から差し引くことができます。何でも引けるわけではなく、**「不・事・山・譲(ふじさんじょう)」**と覚えます。
- 不動産所得
- 事業所得
- 山林所得
- 譲渡所得(※一定の土地建物や株式等を除く)
ステップ3:所得控除(15種類)
課税される前に、個人の事情に合わせて所得から差し引くものです。
- 人的控除: 基礎控除(48万)、配偶者(特別)控除、扶養控除など。
- 物的控除: 社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、ふるさと納税(寄附金控除)、医療費控除など。
ステップ4:課税標準の計算(総合課税か分離課税か)
- 総合課税: 全ての所得を合算して税率を掛ける。
- 申告分離課税: 土地建物の譲渡や退職金など、他と混ぜずに独自の税率で計算する。
ステップ5:税率を掛けて税額を出す
所得税は、所得が高くなるほど税率が上がる**「超過累進税率」**を採用しています。
- 5%から45%の7段階。
- 計算式: 課税所得 × 税率 - 控除額(以前作成したG27の数式はこのステップです)。
ステップ6:税額控除(最後のご褒美)
算出された「税金そのもの」から直接差し引きます。節税効果が絶大です。
- 住宅ローン控除: 住宅ローン残高の一定割合を税金から直接引く。
- 配当控除: 配当所得を総合課税にした場合に適用。
渋沢栄一的「FPの学び」
渋沢栄一は「正しい道理(論語)に基づいた経済(算盤)」を大切にしました。所得税を学ぶことは、単なる節税テクニックを覚えることではありません。
「なぜ一時所得には50万円の控除があるのか?」「なぜ退職金は税金が優遇されているのか?」といった、国の配慮や社会の仕組みを読み解く力こそが、FP3級の真髄です。
試験対策のワンポイント
- 医療費控除とセルフメディケーション税制は**選択制(併用不可)**であること。
- 配偶者控除を受けられる配偶者の合計所得金額は48万円以下であること。
- 所得税の申告期限は翌年2月16日から3月15日まで。
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