「税額控除」は、所得税計算の最終段階で登場する、最も強力な節税手段です。
これまでの「所得控除」が「税率を掛ける前の所得」を減らすものだったのに対し、「税額控除」は計算された「税金そのもの」から直接引き算します。 つまり、1万円の控除があれば、そのまま手取りが1万円増えるという非常にインパクトの大きい項目です。
1. 代表的な税額控除
FP3級の試験や実務で必ず押さえておくべきなのは、以下の3つです。
| 控除名 | 内容・ポイント | 節税効果 |
| 住宅ローン控除 | 住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合。 | 年末ローン残高の0.7%(原則)を税金から直接マイナス。 |
| 配当控除 | 配当所得を「総合課税」として申告した場合。 | 配当所得の金額の原則10%(または5%)をマイナス。 |
| 住宅耐震・省エネ改修 | 自宅の耐震や断熱改修、バリアフリー化をした場合。 | 標準的な工事費の一定割合をマイナス。 |
2. 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
個人が最も恩恵を受ける税額控除の代表格です。
- 適用期間: 原則13年間(新築の場合)。
- 条件: * 床面積が50m^2以上(所得制限により40m^2以上の場合あり)。
- 合計所得金額が2,000万円以下。
- 借入金の償還期間が10年以上。
- 特徴: 所得税から引ききれない場合は、翌年の住民税からも一定額が差し引かれます。
3. 配当控除(二重課税の調整)
これは「会社が法人税を払った後の利益を配当しているのに、もらった個人にまた所得税をかけるのは二重課税だ」という考えに基づいた調整です。
- 条件: 配当所得を「申告分離課税」ではなく**「総合課税」**で申告した場合のみ適用。
- 算盤の注意点: 総合課税にすると累進税率で税率が上がるため、配当控除のメリットと天秤にかける必要があります。
4. 渋沢栄一的「税額控除」の意味:国家の奨励金
渋沢栄一は「民間の活力が国を豊かにする」と信じていました。
税額控除は、国が特定の行動(家を買う、環境を良くする、投資をする)を後押しするための**「奨励金」**としての性格を持っています。
「算盤を正しく弾き、国の意図(制度)を賢く利用することは、家計を助けるだけでなく、国の施策に協力することでもある。」
住宅ローン控除で家を建てることは建築業界を潤し、配当控除があることで投資を促進する。こうした「制度の裏にある大きな流れ」を掴むのが、真のタックスプランニングです。
5. 計算の最終順序(フィニッシュ!)
これまでの学びをすべて繋げると、こうなります。
- **所得税額(復興特別所得税込み)**を算出。
- そこから税額控除を直接引く。
- 引いた後の金額が、「あなたが最終的に納める税金」。
注意: 税額控除は「税金がゼロ」になるまでしか引けません(還付金はあくまで自分が納めた税金の範囲内です)。
まとめ:所得控除と税額控除の違い
| 項目 | 所得控除(15種) | 税額控除 |
| 引くタイミング | 税率を掛ける前 | 税率を掛けた後 |
| 引き算の対象 | 所得(儲け) | 税金そのもの |
| 節税効果 | 控除額 × 税率 | 控除額そのもの |
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